万葉の時代から鰻食べてパワーアップ

鰻の蒲焼の語源は、昔、鰻をぶつ切りにして串にさして焼く形が蒲の穂に似ていたことから「がま焼き」、転じて「かば焼き」になったそうです。

万葉集に夏に鰻を食べる歌があります。「石麻呂に吾れもの申す 夏痩せによしといふものぞ鰻とり食せ」「痩す痩すも生けらばあらむを将やはた 鰻を漁ると河に流れな」万葉集の編集者、大伴家持が詠んだ二つの歌です。石麻呂君に私はものを申し上げます。夏痩せによく効くといわれている鰻を捕って食べなさい。痩せていても生きている方がましでしょ! 鰻を穫ろうとして河に流されないようにね。この二種の歌の後に、「石麻呂というひとがいて飢餓の人みたいに痩せていた」と説明が、歌の前には「笑いの歌」と書かれているそうです。家持も痩せていたというから、痩せの家持がガリガリの石麻呂君に「鰻食べて元気で夏を乗り切れよ」なんて言っているのが、笑いの歌なんですね。家持のこの歌を万葉集の編纂時に提出したのは石麻呂。この歌が嫌だったら破り捨てて提出なんかしないでしょう。二人は冗談が言い合えるくらいとても仲良し。きっと家持の自分への気遣いが嬉しかったのでしょうね。